1、2号機の廃止が決まった御坊発電所
御坊発電所1、2号機(各60万キロワット)の廃止を発表した関西電力(株)が、御坊市内で新たなエネルギー関連事業の実施を検討することが分かった。廃止による税収入や雇用など地域経済への影響を少しでも緩和させたい考え。具体的な取り組みは未定だが、一例として昨年12月から紀の川市で稼働している国内最大級の系統用蓄電池「紀の川蓄電所」が想定される。今後どのような代替案が示されるのか注目される。
関電は26日午後、御坊発電所1号機を来年6月30日、2号機を今年10月31日までに廃止すると発表。同社関係者から説明を受けた三浦源吾市長は「誠に残念。地域経済への影響が緩和されるよう、今後は事業者である関西電力や県と連携を密にし、知恵を出し合い、対話を重ねることで本市の未来につながる効果的な取り組みを全力で進めたい」とのコメントを発表。
発電所の従業員は現在約90人いるが、来年7月以降は人員が縮小されるとみられ、御坊市にとって税収入減、雇用など地域経済への影響が危惧されるため、関電は市長コメントにあるように「地域経済への影響を緩和させる」ため、地域活性化の取り組みとして発電所を含む市内で新たなエネルギー関連事業の実施を中心とした代替え案を幅広く検討する考えを示した。
具体的な検討はこれからになるが、一例として想定されるのが、新たに注目されている系統用蓄電池「蓄電所」。大型蓄電池を電力系統に接続し、電力の余剰時には充電し、不足時には放電することで電力需給の安定化、再生可能エネルギーの導入加速・有効活用につながる事業で、関電でも力を入れている分野。
関電は昨年12月からオリックス(株)との共同で国内最大級の紀の川蓄電所の運転を始めている。敷地面積約8000平方メートル。定格出力4万8000キロワット。一日1サイクルの充放電をした場合、一般家庭約1万3000世帯の一日の電力使用量に相当する。大阪府岬町で9万9000キロワット(敷地面積約2万平方メートル)の多奈川蓄電所、北海道札幌市で5万キロワット(同約7000平方メートル)が2カ所ある札幌蓄電所を計画している。
発電所の人工島は現状すぐに活用できるスペースはなく、適地を探すならそれ以外の市内。県所有で造成済みの工業用地は完売(賃貸含む)したため、未造成の御坊工業団地(熊野、面積約21万平方メートル・造成時見込み約12万平方メートル)があるほか、市有地なら造成済みの熊野企業団地(面積6588平方メートル)、民間なら藤田町藤井の旭化成(株)和歌山工場跡地(面積2万平方メートル)などがあり、今後の取り組みが注目される。
関電は御坊市、印南町沖で仮称・和歌山県沖洋上風力発電事業の検討も進めている。沖合10~30キロに最大総発電出力100万キロワット(原発1基分に相当、御坊発電所は180万キロワット)の浮体式洋上風力発電設備を設置する計画。
3号機も廃止含め検討
発電所跡地利用が課題
関電の石油火力は、脱硫装置が付いている御坊発電所3号機(60万キロワット)のみとなるが、1、2号機と同様に運転開始から40年が経過し、今後廃止も含めて取り扱いを検討する。
関電は「まだ方向性は決まっていない」とし、設備高経年化、稼働状況など事業環境の変化等を総合的に判断するが、廃止は時間の問題と見られる。3号機の廃止も決まれば、35万平方メートルを有する人工島の跡地利用が大きな課題になる。
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