
本人視点に立った取り組み展開
(写真は2月に開いた本人サミット)
認知症支援の全国先進地として高い評価を受けている御坊市が、新たに認知症本人の視点に立った条例制定をめざし、6月から関係機関代表らでワーキングチームをつくり、検討を始めることになった。年内に骨子案をまとめ、来年3月議会の提案をめざす。全国では予防などに視点を置いた条例は数自治体で制定されているが、認知症本人の視点に立ち、より良い暮らしを実現するための条例は珍しく、御坊発の「本人視点」条例として注目を集めそう。
御坊市は「認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくり、誰もが活躍できるまちづくり」をめざし、これまでの行政主導から認知症本人を主役に据え、行政や事業者、地域が一体となり、本人視点に立った取り組みを進めている。「認知症の人でも活躍できることは必ずある」をモットーに様々な取り組みを行っている「ごぼう総活躍のまちづくりプロジェクト」は今年1月にNHK厚生文化事業団の第1回「認知症にやさしいまち大賞」を受賞している。
認知症研究の第一人者で御坊市のアドバイザーも務めている認知症介護研究・研修東京センター研究部長の永田久美子さんら関係者と今年度の取り組みを協議した中で、永田さんから「国が認知症の人の基本法を検討している。これからは市町村においても認知症の人の視点に立った条例制定が必要になるのではないか」と提案。これを受け、市は「本人とともにより良い暮らしを実現するため、本人の声、視点を重視した独自の条例をつくりたい」と検討を始めることにした。
市や関係機関、認知症本人とその家族ら10人程度でワーキングチームを作り、6月に初会合を開き、月1回程度集まり、基本理念や基本方針など内容を検討する。どこまで踏み込んだ内容にするかなどはこれからの議論になるが、市介護福祉課は「年内に骨子案をまとめ、来年3月議会に提案したい」と、御坊発の条例制定へ意欲を見せている。
このほか、御坊市が関わり、国が作成した認知症と診断された人のための「本人ガイド」の御坊版本人ガイドを今年度中に作成するほか、8月9日に若年性認知症当事者で日本認知症本人ワーキンググループ共同代表を務め、認知症の人だけでなく誰もが生きやすい社会をめざして講演や執筆活動を行っている藤田和子さん=鳥取市=を講師に招いた職員研修会も開くなど市、地域挙げて「認知症にやさしいまち」づくりを推進する。
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