印南町で津波について考えるシンポジウム開催 〈2026年6月16日〉

左から濱本さん、上山さん、岡本さん3人が
パネリストで取り組みを紹介


 印南は津波被害を受けてきた歴史がある――。過去の教訓を後世に伝え、地域の防災意識を高めようと、津波について考えるシンポジウム「宝永、安政、昭和 そして…」(印南マンスリークラブ主催)が13日、印南町中央公民館で開かれた。印南中出身の卒業生3人が過去の南海地震の記録や防災教育の取り組みを報告。約60人が参加した。
 パネルディスカッションには、防災「いなみっ子」未来プロジェクトの津波研究班で防災甲子園に入賞した2014年度卒業生の本尚実さん、岡本直樹さん、上山円華さんが登壇。恩師で元同校教諭の阪本尚生さんがコーディネーターを務めた。
 岡本さんは、令和6年の能登半島地震の被害状況を写真とともに報告。死者711人の甚大な被害に触れ、半島型の地形や道路破損による孤立集落の発生や高齢化など紀伊半島との共通点を指摘。能登町の中学生が住民と連携して防災カルタ作成などに取り組んだ事例を紹介し、地域と中学生の協力の重要性を訴えた。
 上山さんは、スマトラ島沖地震を機に始まった研究班の活動を報告。印南湾の地形を発泡スチロールで再現して水を流し、津波の入り方の研究や小学生向けの防災紙芝居「安政印南の奇跡」で啓発に取り組み、要支援者体験、避難所運営、防災キャンプ等の活動に発展した経緯を説明した。
 本さんは、近年の印南中の活動で自主防災会の合同ワークショップや避難所宿泊体験を経て町内一斉防災訓練に参加し、町体育センターでの避難所開設・運営体験など地域と連携した取り組みを紹介。「過去の災害の歴史や体験を後世に伝えることが大切。非常用持出袋の準備や避難経路確認などの備えが重要で、訓練は自分の足で避難所までの所要時間など確かめられる大切な機会。中学生が取り組んできた防災活動を知り、大人としてできることを考えて」と呼びかけた。
 阪本さんは、2015年の歴史地震研での発表を機に、昭和南海地震体験者への聞き取り調査実施を紹介。津波が来てから避難した人が多く、来ることを知らなかった人がほとんどだったという実態が浮かんだと報告した。宝永地震で約200人が犠牲となり「宝永の教訓が安政南海地震で死者ゼロとなったが、昭和まで伝わりきれず再び死者16人を出す被害が出たのではないか」と指摘した。
 質疑応答では来場者から「夜間を想定した訓練も必要」「最悪の事態を想定し家族間で話し合いを」などと意見が出て、岡本さんは「学んできたことを発表できる良い機会で復習にもなった」、上山さんは「保育士として防災の大切さを日々感じており、今後も訓練に参加し続けたい」、本さんは「皆さんに集まっていただいて嬉しい。防災意識を高める取り組みへのご協力を」と締めくくった。
 同クラブから日裏勝己町長に行政で役立ててほしいと同プロジェクトで作成した「印南の津波災害」パート2~4と「印南の災害記録」の各400部を贈呈する目録を渡した。


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