
測量図から1号墳は前方後円墳と判断
県下各地で活動する紀伊考古学研究会は10日、日高町中央公民館で例会と現地見学会を開き、向山古墳群(日高町荊木・御坊市)の詳細測量調査の成果を報告した。測量図から1号墳が前方後円墳と判断でき、8、9号墳も同様の可能性が高いことが示された。和歌山県内で前期の前方後円墳は極めて少なく「県下最古の古墳」と評価。現地を踏査した専門家も築造時期を3世紀末~4世紀前半と推定し「紀伊水道と要所の平野部可耕地を掌握する初期ヤマト王権の南限地帯に相当する」と歴史的意義を指摘した。今後、発掘調査となれば、ヤマト王権との関わりを示す決定的な証拠が得られるかが注目される。
1号墳は前方後円墳と判断
3世紀末~4世紀前半の築造と推定
向山古墳群の詳細測量調査で、これまで知られていなかった前方後円墳の存在が測量図から浮かび上がった。県下最古級とされるその歴史的意義と今後の調査への期待を、報告会での内容からたどる。
川崎雅史氏(御坊市及び日高郡6町埋蔵文化財保護行政事務協議会)が測量成果を報告。1号墳は前方部が後円部より低く平面形が長方形で広がらない形状から、古墳時代前期でも古い段階の古墳とされる。元々、別々の円墳とされていた8、9号墳は、一つの前方後円墳の可能性があることも示した。
現地を踏査した森岡秀人氏(奈良県立橿原考古学研究所特別指導研究員・公益財団法人古代学協会客員研究員)は、8、9号墳については一つの前方後円墳で前方部が細長く先端に向けて反るように強い撥形を呈する古式の墳形が想定でき、築造時期について高所側の8、9号墳を3世紀末~4世紀初頭、1号墳を4世紀前半と推定。立地については「紀伊水道と要所の平野部可耕地を掌握する初期ヤマト王権の南限地帯に相当する」と指摘している。今後については、発掘調査と遺構保全を進めるよう提言。地中レーダー探査や墳丘要所のトレンチ調査の実施が望まれるとした。
川崎氏は県内で確認されている前期の前方後円墳は極めて少なく、それらは前期中頃以降の築造とされていることからも向山1号墳と、8(9)号墳を「県下最古の古墳」と評価。主体部の調査は副葬品が劣化する恐れもあるので慎重を期さねばならないが、部分的な調査であっても墳丘形態や主体部の構造を明確にする必要性があり、ヤマト王権との関わりを示す決定的な証拠が得られるかが焦点となるという。
また浜崎範子氏(和歌山県文化財センター)は、最新技術「SfM/MVS」を用いた墳丘測量図の作成手法を説明。報告会の後は現地見学会として、向山古墳群の1、2、8、9号墳を巡り、参加者が専門家の解説に耳を傾けた。
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