
赤煉瓦造りの旧高津尾水力発電所建屋の南側上部には
創業時の和歌山水電の社章も残る
大正時代から日高川町高津尾(尾曽地区)のシンボルとして、世紀を跨いで地元民に親しまれている関西電力(株)高津尾水力発電所にある赤煉瓦の旧建屋が、来年度中にも取り壊されることが地元区と町に伝えられた。同建屋は、1918年に建設され、近代土木では国指定文化財クラスの貴重な建物だが、104年が経過して老朽化には勝てなかった。地元では建物の一部残存や移設などを望む声が聞かれるが、多額の費用も必要となる。町議会一般質問でも原孝文議員が町の対応を問う。
高津尾水力発電所は、きのくに中津荘や日高川ふれあいドームの日高川対岸にある。1918年(大正7年)に、当時和歌山市にあった和歌山水力電気によって操業が開始され、山を越えた日高川からトンネルを抜いて導水路を設け、上田原のえん堤から取水された水を発電所上部の尾曽谷ダムに貯水して発電を開始した。その後、電力会社を変遷して昭和25年から現在の関西電力が事業を受け継ぎ、1999年(平成11年)には新たなトンネル(導水路)を掘削し、旧発電所建屋に隣接(上流)する形で新高津尾発電所を建設。旧建屋同様に赤煉瓦風の建屋が並んでいる。
新発電所完成後、旧建屋は2014年まで事務所などに利用されていたが、築年数が100年を超えて老朽化が著しく、現在は用途がないまま残存してきた。英国から輸入されたという赤煉瓦造りの旧建屋は大正ロマンを感じさせ、南側上部には、創業時の和歌山水力電力の社章が残るなど国指定文化財クラスの建物だが、耐震化など建物維持には数億円の費用が必要と考えられる。以前から取り壊しの計画があり、6月初めに地元区長に説明し、区民らにも報告。今月には改めて町にも説明があった。
取り壊しの方針を知った区関係者は「大正時代からある地元のシンボルで、取り壊されるのは本当に残念。民間会社の所有で、維持には多額の費用も必要だろうが、貴重な建物の一部だけでも残してもらえないかと願っている。町にも協力をお願いして地元として何か出来ることはないかという気持ち」。関西電力からは「長年地元の皆さんに愛された施設ですが、老朽化がひどく現在は倉庫のような形でしか利用できない状態で取り壊す方針となりました。今後のスケジュールなどについては社内で検討しています」と話した。
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