ひだか病院がドライビングシミュレーターを導入 〈2022年4月24日〉


導入したドライビングシミュレーター
(写真奥右から宮本、坂田、橋尾各氏)


 御坊市外5ヶ町病院経営事務組合が経営する「ひだか病院」(尾崎文教院長)が、リハビリテーションセンターにリハビリテーション向け運転能力評価サポートシステム「ドライビングシミュレーター~Hondaセーフティナビ」を導入した。退院後の自動車運転復帰に向け、3面ディスプレーを使用したシミュレーターで運転に対する評価や訓練を行い、主治医診断の参考にする。県下の病院では6台目の導入となるが、日高地方の病院、県内の自治体病院では初めて。

 自動車運転は認知、予測、判断、操作といった総合的かつ瞬間的な認知および遂行機能を要求され、これらの能力に障害が生じる可能性がある脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等)や頭部外傷の患者は道交法により免許センターでの検査で安全に運転できるかを適切に評価、判断される。その際に主治医の診断書が必要になるが、その参考となる神経心理学的検査は机上で行ってきた。
 検査用紙を使ったチェックのため、的確な評価が難しい面があり、患者からも「評価は良くても実際に運転できるか心配」と不安の声も多かったという。社会復帰に向けてリハビリする中で退院後に「また運転したい」との要望や相談は多く寄せられ、昨年1年間だけでも数十人いた。患者の要望を受けて運転復帰に向けた評価システムを充実させようと、今月からドライビングシミュレーター一式(212万円)を導入。
 3面ディスプレーを使用し、実際の運転に近い感覚で運転操作でき、脊髄損傷等でペダル操作に問題がある人も運転できる手動運転装置も付いている。教習所で使用されている危険予測体験をもとに難易度が異なる初級、中級、上級各6コースのほか、反応検査、運転操作課題、総合学習体験、環境別走行体験などさまざまなメニューもある。
 問診、従来の机上検査に加え、シミュレーターを使った評価・訓練のプログラム(5日間程度)を組み、まずは脳外科の入院患者を対象に行っている。様子を見ながら今後、他の診療科に対象を広げたり、教習所と連携した実車による評価・訓練も始めたい考え。
 リハビリテーションセンター長で整形外科部長の宮本選氏、同センター科長の橋尾学氏、主任作業療法士の坂田慎介氏は「地方では自動車の運転が必要な方の割合が高く、当院でも退院後に、また運転したいという患者さんが多くおられる中、特に作業療法の分野でドライビングシミュレーターを使い、患者さんの希望に添えられるようにサポートし、地域医療の充実に貢献できれば」と話した。


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