秋晴の下、日高地方のトップ切り「印南祭」 〈2025年10月3日〉

屋台が激しく競り合う


 日高地方の秋祭りトップを切って2日、印南町の山口、印南両八幡神社の祭礼「印南祭」が行われた。絶好の祭り日和となった秋空秋晴れの下、午前中は印南漁港で屋台が激しく競り合い、神社で獅子舞や踊りなどを奉納した。秋祭りは印南祭を皮切りに5日は御坊祭、12日は笑い祭(日高川町)、19日は由良祭、26日は和田祭(美浜町)など日曜日を中心に11月3日の寒川祭(日高川町)まで1カ月間にわたって続き日高路は祭り一色となる。
 午前中、山口八幡神社祭礼は御坊市名田町から野島、上野、楠井、印南町から津井、浜、地方の屋台6台が印南漁港に集まり、のぼりが競り合ったあと、若中らが担ぐ屋台が激しくぶつかり合った。若中らの「ソリャ、ソリャ」という威勢のいい掛け声とともに屋台が競り合ったほか、屋台を合わせて高々と持ち上げるなどし気勢を上げた。神社に移動し、神事に続いて、地方区の雑賀踊りや各地区の獅子舞を奉納。350年余りの歴史がある雑賀踊りでは、のぼりの回りを武者の姿をした踊り手が輪になって、囃子の鉦(かね)の響きに合わせ、両手に持った竹を細く割って束ねた簓(ささら)を摺りながら踊った。
 東山口、光川、宇杉、本郷が参加する県無形文化財指定の印南八幡神社祭礼は、神社で約400年前から伝わる東山口の重箱獅子や各地区の獅子舞を奉納。簓を持った鬼と天狗に黒面の踊り獅子が笛や太鼓など鳴り物なしで舞う重箱獅子は、鬼と天狗が獅子と長いあいだ対峙するのが特徴で、簓の音だけが響く静かな獅子舞に見入った。


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ひだか病院 6年度11億円の赤字、経営改善急務 〈2025年10月2日〉

経営改善が急務の「ひだか病院」


 御坊市外5ヶ町病院経営事務組合議会定例会は30日、ひだか病院で開き、令和6年度病院事業会計決算を認定し閉会。コロナ禍後、通常対応に移行した5年度以降は患者数の減少等で厳しい経営が続き、6年度決算で11億円超の大幅な赤字を出した。運転資金となる内部留保資金は10億円を切り、6年度並みの赤字を出せば今年度後半にも資金不足に陥る恐れがあり、専門家の助言を受けながら経営改善に全力を挙げる。
 コロナ禍では国や県の手厚い財政支援で2~4年度トータルで15億3100万円の黒字を出し、累積赤字を約46億5000万円まで圧縮できたが、通常体制に戻った5年度は財政支援が廃止・減額されたのに加え、一般病棟の2階病棟が改修工事で3カ月間稼働できなかったことなどから入院患者が約1万人減り、4年ぶりに6億超の赤字決算となり、累積赤字は52億7000万円超に増加した。
 6年度は発熱外来の減少に加え、年度途中で眼科常勤医が退職したことなどで外来患者が8625人減少し、給与費増、高水準の減価償却費も重なり、前年度を大きく上回る11億4358万7444円もの大幅赤字となった。累積赤字は64億2113万円まで膨らみ、コロナ禍での黒字をすべて吐き出し、コロナ禍前の累積赤字を上回った。
 現状、資金不足には陥っていないが、補てん財源として運転資金に充てられる内部留保資金(余剰金)は約9億6300万円まで減っており、今年度も6年度並みの赤字額となれば、今年度後半から8年度にかけて、資金不足に陥る恐れがあるため、病院側も深刻な状況と受け止め、内部留保資金を極力使わないよう赤字幅を大幅に圧縮することが急務。
 仮に資金不足に陥った場合は、コロナ禍前にも行われたように構成市町等から緊急の一時借り入れを受けざるを得なくなる。直ちに病院経営が立ち行かなくなることはないが、資金不足の状況が続けば、持続可能な病院経営が危ぶまれるのは間違いない。危機的状況に陥らないように総務省経営・財務マネジメント強化事業を活用し、公立病院研究第一人者の伊関友伸・城西大学経営学部教授をアドバイザーに迎え、経営健全計画を策定中。
 9月からは新たに経営コンサルタントとも契約を結び、収益の強化や業務の効率化・最適化など経営改善に取り組んでいる。病院側は「当院は地域医療の最後の砦として住民の皆さまの生命と健康を守る重要な役割を担っており、経営アドバイザーの知見も取り入れつつ、患者満足度の向上、病病連携・病診連携の強化に努め、経営改善・収支改善に全力で取り組みたい」とした。


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御坊商工会議所 1日から初の麻雀シールラリー実施 〈2025年10月1日〉


 御坊商工会議所は「健康マージャンの聖地」として売り出している御坊市を盛り上げようと、10月1日から12月31日まで初の第1回麻雀シールラリーを実施する。参加店舗で1000円以上の買い物をすれば麻雀配牌シールがもらえ、それを集めて役をつくれば、役に応じた景品と交換できる。子どもからお年寄りまで、麻雀を知らない人も楽しめるイベントで、多くの参加を呼びかけている。
 御坊市には麻雀牌や全自動麻雀卓製造の全国シェアトップを占める大洋化学(株)があり、平成18年から熟年高齢者健康麻雀大会を開き、令和元年秋のねんりんピック、3年秋の国民文化祭では官民挙げて誘致した全国大会を成功させた。令和5年度からは全国自治体独自で初めての全国大会「健康マージャンペアフェスタ」を継続開催している。
 健康マージャンの聖地を地元から盛り上げ、市内事業所のPRと誘客促進につなげようと麻雀シールラリーを初実施。参加38店舗を5タイプに分け、各タイプでもらえる配牌シールが異なる。会議所や参加店舗で配布の「役作りシート」に、あらかじめ12枚の手持ち牌シールが付き、あとは参加店舗で買い物をし、配牌シール(1店舗6枚)を集めて役をつくればいい。
 ただし(1)シールがばらばらで役ができていないもの(2)配牌シールが1枚も使われていないもの(3)シールが破損して判別できないもの(4)同じ種類の牌を3枚使用した刻子を使用したもの――は無役扱いになる。
 麻雀役一飜が1ポイントの計算で、A賞(100人)麻雀牌セットは13ポイント以上の役満、B賞(280人)参加店舗で使える買い物券1000円分は4ポイント~12ポイント、C賞(200人)同500円分は1ポイント~3ポイント、D賞(1000人)麻雀牌キーホルダーは0ポイントの無役。
 A賞の中から特別賞として抽選で1人に全自動麻雀卓が当たる。また、D賞は、いずれか1店舗で買い物し、配牌シールをもらえばキーホルダーをゲットできる。景品はA~D賞いずれも先着順で一人1回。景品との交換は会議所、MARUNI(株)で行う。問い合わせは会議所(電話22・1008)へ。

紀州鉄道車内で楽しく麻雀
11月2日と6日、プロ雀士招く
 紀州鉄道麻雀イベントが11月2日、16日の午前10時~11時30分と、午後2時~3時30分に開催。
 紀州鉄道の車内に麻雀卓を設置し、のんびり揺れるローカル列車で麻雀を楽しめるユニークなイベント。ゲストにプロ雀士の伊香保太郎さんを招く。料金は御坊駅~西御坊駅の往復運賃。大人360円、小人180円。


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御坊発電所2基廃止で関電が地域経済影響緩和策検討へ 〈2025年9月30日〉

1、2号機の廃止が決まった御坊発電所


 御坊発電所1、2号機(各60万キロワット)の廃止を発表した関西電力(株)が、御坊市内で新たなエネルギー関連事業の実施を検討することが分かった。廃止による税収入や雇用など地域経済への影響を少しでも緩和させたい考え。具体的な取り組みは未定だが、一例として昨年12月から紀の川市で稼働している国内最大級の系統用蓄電池「紀の川蓄電所」が想定される。今後どのような代替案が示されるのか注目される。
 関電は26日午後、御坊発電所1号機を来年6月30日、2号機を今年10月31日までに廃止すると発表。同社関係者から説明を受けた三浦源吾市長は「誠に残念。地域経済への影響が緩和されるよう、今後は事業者である関西電力や県と連携を密にし、知恵を出し合い、対話を重ねることで本市の未来につながる効果的な取り組みを全力で進めたい」とのコメントを発表。
 発電所の従業員は現在約90人いるが、来年7月以降は人員が縮小されるとみられ、御坊市にとって税収入減、雇用など地域経済への影響が危惧されるため、関電は市長コメントにあるように「地域経済への影響を緩和させる」ため、地域活性化の取り組みとして発電所を含む市内で新たなエネルギー関連事業の実施を中心とした代替え案を幅広く検討する考えを示した。
 具体的な検討はこれからになるが、一例として想定されるのが、新たに注目されている系統用蓄電池「蓄電所」。大型蓄電池を電力系統に接続し、電力の余剰時には充電し、不足時には放電することで電力需給の安定化、再生可能エネルギーの導入加速・有効活用につながる事業で、関電でも力を入れている分野。
 関電は昨年12月からオリックス(株)との共同で国内最大級の紀の川蓄電所の運転を始めている。敷地面積約8000平方メートル。定格出力4万8000キロワット。一日1サイクルの充放電をした場合、一般家庭約1万3000世帯の一日の電力使用量に相当する。大阪府岬町で9万9000キロワット(敷地面積約2万平方メートル)の多奈川蓄電所、北海道札幌市で5万キロワット(同約7000平方メートル)が2カ所ある札幌蓄電所を計画している。
 発電所の人工島は現状すぐに活用できるスペースはなく、適地を探すならそれ以外の市内。県所有で造成済みの工業用地は完売(賃貸含む)したため、未造成の御坊工業団地(熊野、面積約21万平方メートル・造成時見込み約12万平方メートル)があるほか、市有地なら造成済みの熊野企業団地(面積6588平方メートル)、民間なら藤田町藤井の旭化成(株)和歌山工場跡地(面積2万平方メートル)などがあり、今後の取り組みが注目される。
 関電は御坊市、印南町沖で仮称・和歌山県沖洋上風力発電事業の検討も進めている。沖合10~30キロに最大総発電出力100万キロワット(原発1基分に相当、御坊発電所は180万キロワット)の浮体式洋上風力発電設備を設置する計画。

3号機も廃止含め検討
発電所跡地利用が課題
 関電の石油火力は、脱硫装置が付いている御坊発電所3号機(60万キロワット)のみとなるが、1、2号機と同様に運転開始から40年が経過し、今後廃止も含めて取り扱いを検討する。
 関電は「まだ方向性は決まっていない」とし、設備高経年化、稼働状況など事業環境の変化等を総合的に判断するが、廃止は時間の問題と見られる。3号機の廃止も決まれば、35万平方メートルを有する人工島の跡地利用が大きな課題になる。


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御坊市教育委「推奨100冊」野口小6年生2人が初読破 〈2025年9月27日〉

「みーやちゃん」から表彰状を受けた佐藤さん、橋本さん(左から)


 御坊市教育委員会が読書習慣定着化推進事業の一貫で「読書好きの児童を増やし、学力向上につなげよう」と、令和6年4月から市内6小学校で推奨している入学から卒業までに読んでほしい「ごぼうっ子の100冊」を、野口小の6年生2人が初読破し、弓倉正啓教育長名の表彰状が贈られた。1年半での達成となり、弓倉教育長は「これからも読書の楽しさを広げていってほしい」と話した。
 全国学力・学習状況調査結果で市内児童生徒の読書量は全国・県平均を下回り、小学校では授業以外に読書をしない児童や学校図書室を利用しない児童が3割程度いたため、読書習慣を定着化させ、読書好きの子どもを増やすことで学力向上につなげようと、学校での読書推進や学校図書整備などに取り組んでいる。
 その一環で令和5年度に市内のよみきかせボランティアグループ、学校司書、市立図書館職員らが発達段階に応じた本、各小学校高学年が低・中学年に読んでほしい本として共通の「ごぼうっ子の100冊」を選定し、6年度から完読を推奨。児童には100冊のリストを載せた小冊子を配り、読んだ本を5つ星で評価できるようしている。
 開始から1年半で初読破を達成したのは、野口小6年の佐藤碧巴さんと橋本愛奈さん。佐藤さんは「『戦争をやめた人たち』が印象に残った。とてもおもしろかった」、橋本さんは「絵本などは短い時間で読めました。『モモ』が印象に残った」と話した。
 初読破達成のお祝いとして市公認PRキャラクター「みーやちゃん」が学校を訪問し、2人に教育長からの表彰状を贈った。野口小では図書委員会が『ポテ図書』と銘打ち、出張ミニ図書館を設け、学期ごとにイベントを開催するなど楽しく読書に親しめるように工夫しているという。
 弓倉教育長は「100冊を読み終えた2人の努力と意欲に敬意を表したい。読書を通じ培った力が、これからの学びを大きく支えてくれると期待しています。これからも好きな本をたくさん読み、読書の楽しさを広げてほしい」と話した。
 100冊は低学年用が「こねこのチョコレート」「2ひきのカエル」「ものぐさトミー」「ジャックと豆の木」など40冊、中学年用が「ヘンリー・ブラウンの誕生日」「ほらふき男爵の冒険」「ぼくとがっこう」「ともだち」など40冊、高学年が「赤毛のアン」「二分間の冒険」「しずかな魔女」「イオマンテ」など20冊選定している。


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下川放水路整備住民説明会に60人、心配の声も 〈2025年9月26日〉

地域住民が出席した下川放水路説明会


 県は24日、御坊市役所で令和3年度から着手している下川放水路整備事業の住民説明会を開き、地域住民ら60人が出席。営業等に井戸水を利用する住民から懸念や心配の声が上がっていることを受け、新たに設置する観測孔を中心に工事中や工事後の常時監視を続けるなどの地下水対策を説明し、問題が発生した場合は「県が責任を持ち、真摯に対応する」とし、事業推進への理解を求めた。
 天理教湯川分教会前の県道交差点から日高川堤防まで約1・5キロの18メートル道路(県道御坊停車場線)の地中約5~7メートルに3・4メートル四方、4メートル四方の放水路(ボックスカルバート)を設置する。現在は工事発注準備、用地交渉を進め、早ければ来年度から着工予定。日高川に直接放流するための排水施設、放水路への流入施設2カ所も設ける。流下能力は計画流量が毎秒20トン、最大流量が毎秒26トン。
 説明会では放水路の整備概要、オープンシールド機を使った施工方法などを説明した。良質な井戸水を利用して商売を続けている人、日常生活で利用している人から放水路設置によって地下水の流れが遮断、阻害されるとの懸念や心配の声には、事前に行ったボウリング調査結果として「ボックスカルバートは地下水脈にかかるが、透水層(礫質土層)なので地下水が遮断されることはないと考える」と説明した。
 その上で、今年4月から来年3月まで周辺地域24カ所で水質・水量・水位の現況調査、南西地域の営業店舗21カ所で利用状況等の聞き取りを行っているほか、今後は(1)18メートル道路沿線周辺11カ所に観測孔を新設し、工事中や工事完了後1年間は継続的に水位や水質を常時監視する(2)観測孔11カ所と既設井戸2カ所、下川4カ所、日高川3カ所の計20カ所で水位を観測して地下水の流動方向を把握する(3)流動方向の精度を高めるための主要溶存イオン分析も既設井戸24カ所、観測孔11カ所など計42カ所で行うことを報告した。
 井戸水に影響が生じた場合の補償方針では「生活や生業に支障かつ工事が原因による影響の場合は地下水の影響、利用状況に応じて恒久的な対応策を個別に相談。補償は県が責任をもって対応する」とし、具体例として(1)井戸水のみを使用している世帯への水道引込工事費用等の補償(2)水道水への切り替えを余儀なくされた場合の水道料金等の負担増に対する補償(3)井戸が使用不能になった場合の代替の井戸施設に関する補償をあげた。
 出席者から「井戸水で営業している。水は命。もしものことがあれば生活できない」「一時金ではなく、それなりの補償をしてくれるのか」「監視は工事完了後5年程度続けるべき」などの意見が出された。情報提供など説明が後手に回ったことへの不満、流動方向調査が終わるまで工事を始めないように求める意見のほか、工事期間が概ね10年との説明には「長すぎる。5年程度で終わらせてほしい」との声もあった。


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美浜町の松原王子神社社務所90年ぶり修繕完了 〈2025年9月25日〉

きれいに修繕された社務所入口付近


 老朽化が激しかった、美浜町吉原、松原王子神社(小竹伸和宮司)社務所の修繕が完了した。昭和11年(1936年)に建てられて以来、約90年が経過、大規模な改修はされたことがなかったが、今回、腐っていた入口付近の屋根の一部木材を中心に手入れ。宮会計は潤沢でなく、全部改修となると多額になるため、傷みが激しい一部修繕へ寄付を呼びかけていた同神社と総代会(松本繁樹会長)は「秋祭りを前に完成し、氏子の皆様のご協力に感謝したい」と述べた。
 同神社の由緒は詳細不明だが、江戸時代初期、延宝6年(1678年)の「日高鑑」に「王子神社」という名称で載っているのが最も古い記録。近隣で平安時代の経塚が発見されたことから、熊野九十九王子の一つではないかと推察され、当時は熊野詣の際に、海路の比井港から上陸して陸路を行く場合の要衝の地であったとも考えられる。
 社叢は数百年にわたり、人工を加えず保護した天然林で県指定文化財。社殿は享保3年(1718年)に再建、昭和11年(1936年)に改修され、同時に社務所が新築されている。同神社の社務所は雨漏りなど必要に応じて補修してきたが、大きな改修などは行われたことがない。特に入口付近の屋根の一部の木材が腐り、つっかえ棒で支える応急処置を施していた。
 朽ちて倒れれば、けが人を出す恐れもあることから、今回、早急な修繕を行う必要があり、補助金の類は一切なく、費用をどう捻出するか苦慮していたことから、寄付を呼びかけた。今回、宮費と寄付を合わせ、336万円をかけ、施工は中村建築=日高町小池、中村博代表=に依頼。春先から取り掛かり、8月下旬までに一部の木材と屋根瓦を新しく替えるなどした。
 松本会長は「皆さんのご協力のお陰で、先人が守ってきた社務所を現状維持でき、次の世代に引き継いでいけることがありがたい」と話している。同神社の吉原祭は10月18日に宵宮、19日に本祭を行う。


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